ゆる企6月は馬に乗る!

ゆるゆる企画6月
「愛が溢れ過ぎた小玉、馬に乗る」
運命の初乗馬の日、6/28より遡ること3日前、
天気予報のサイトに衝撃的な記事がアップされました。
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今年一番⁉︎
今年もう半年経ちますが、結構な豪雨とかありましたよ?
・・・まぁ梅雨ですもんね、一年で一番雨量の多い季節ですもんね、
ただの豪雨では面目立ちませんて。あーそうですかーこれは完全に中止…
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これだもの!!
そういえば、5月号のG1参戦企画の時もバッチリ雨予報で当日晴天、
しかも最高気温更新の仕打ちでした。そうでした。

ありがたや。何はともあれまずは感謝からはじまった1日。幸先良い。

予定より早く到着してしまったため、近くの観光スポットを検索。
「御胎内清宏園」
「胎内」の文字にどんなもんかなと惹かれ、早速向かう。
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公園入り口のチケット売り場でおばさまが、公園パンフレットを指差しながら、
「ここね、中腰で入るタイプの洞窟だから。中暗いから明かり持って行った方がいいよ」
と聞いてもいないのに教えてくれた。
洞窟があるのか。
中腰で入るタイプの洞窟というところがなんだかわからないが引っかかるな…。
洞窟自体というより、中腰で入るタイプの「タイプ」部分がなんだかわからないが玄人感を匂わせる…。腰で履くタイプのジーパン、振って泡立つタイプのリキュール、側面発光タイプの薄型リフレクター、、、

…まぁいいか。中へ入ると新緑の青葉眩しい森林公園。
野鳥の森や、溶岩窟など見所もなかなかたくさん。
胎内にかけているのだろう、父の岩、母の池といった比較的最近名付けられたのかなと思われる見所が。しかし、父が岩、母が池というだけでもう十分なほど伝わるものがあるのに、母の池の噴水は…あの噴水は必要だろうかいや明らかに最近設置されたものこれはあのさすがにあのまあいいか。

そうこうしているうちに、件の洞窟に到着…
これは…
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無理!暗!せま!そして洞窟の中からただならぬ冷気…!
わたくし、こう見えてお化け屋敷に入れません。ナンジャタウンのお化け屋敷ゾーンですら悲鳴&腰抜かしの体たらくです。
しかし、「胎内」の名前の力でしょうか、絶対無理だと拒否する理性とは裏腹に中へと進もうとする足。気づくと、中腰で白い息を吐き、携帯ライトを握りしめ洞窟の中にいる私がおりました。
今でもなぜ入れたのか信じられません。

真っ暗かと思いきや、所々間接照明くらいの明かりがついていて、
名前の付いた溶岩が照らされています。うんありがとう、余計怖いよね。
しかも中腰だけならまだしも、洞窟の中は至る所から水が滲み出していて、下はほぼ水たまり。
足場がおぼつかない!そしてただならぬ冷気、心なしか空気も薄い気がする。
頭の中でリフレインされる「中腰で入るタイプの洞窟…」あの玄人感はこのガチンコシチュエーションから来ていたのか…。
そんなことを考えながら、そして恐怖と戦いながら歩くこと2時間半(注:体感時間。本当は5分くらい)、
私は目の前の光景に愕然とした。

そこには、
今までの半分くらいの高さにまでせまくなった洞窟が。
どうやっても中腰では無理だ。無理ですおばさま。ハイハイで入るタイプです。
ハッ、二足歩行からハイハイへ、胎内を歩くことで誕生間際の人間の姿まで戻っていく、
つまり人生を遡るということなのかとよくわからない悟りを開きかけた頭を冷静に戻し、
水に濡れることだけは避けるべく膝を浮かせた筋トレハイハイ状態で進む。

これは…かなりキツイ…。

この頃には、暗所の恐怖心は無くなり、オロナミンCのCMよろしくいきさつのよくわからない危機一髪シチュエーションを乗り越えるため、ファイト一発モードとなっておりました。
もう、なんでも来いです。

あれから半日たったでしょうか(注:体感時間です。実際には8分くらい)、
ふいに人工的な明かりとは違う光が見えた気がしました。
出口だ!
息も絶え絶え、最後の力を振り絞ってその光の場所へたどり着くと、そこには信じられない光景が広がっていました。

洞窟が…、自分の膝くらいの高さまでせまくなってる!

まさに最後の難関に相応しい狭さ。
この難関をクリアできなきゃ産まれ出てからの人生なんて到底渡っていけないとでも言いたいのかという狭さ。
よし、こうなったらもう行ってやろうではないの。
乾いた膝などくれてやるわと水たまりにズッシャアと膝をつけ、もちろん両手も濡れた溶岩石をむんずとつかみ、なんだかもう匍匐前進状態で突き進む。なおもリフレインするおばさまの
「中腰で入るタイプ…」

出口を出た途端、眩しい日中の光に驚き(体感具合ではもう外は夜だと思っていたので)、
外界の温かさにありがたみを感じ、なんだかわからないが軽く生まれ変わった気持ちになりました。
思わず、隣にあったお堂に手を合わせありがとうございましたの意を表し、
洞窟に入るところからここを去るまで写真を撮ることは一切なくその場を後にしました。

今になってみると、おばさまの「中腰で入るタイプ」は壮大な前振りだったんじゃないかと思うのです。
気にしなきゃいけなかったのは「タイプ」ではなく「中腰」。
なるほど。
でも、いい体験しました!おばさまありがとう!

そして、馬に乗る前に終わるっていうね!さて次回、ついに馬が馬に乗ります。

ゆる企6月は馬に乗る今度こそ乗る

ゆるゆる企画6月
「愛が溢れ過ぎた小玉、馬に乗る」

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いよいよです。
なんだかステキなところ。
子供キャンプが行われてて子供たちがわいわいしております。

「ここで座って待っててください」と通された、練習場に併設されたロッジ風の見学席で
気持ち良い風にあたりながら、さっきの洞窟やこれからのことを考えていると、
背中から何やら奇声が。
振り返ると、小さい子供二人が、ロッジの柱にかぶりついてこちらを見ながら穏やかに奇声を発している。
「気持ちは分かるがおチビちゃん達、当方は馬ではございませんよ」
そうジェントルにお伝えしようと思いましたが、
こんなステキな場所で、小さい子供のファンタジーを壊すことはなかろうとニッコリ微笑んでやり過ごしました。

そうこうしているうちに、広場に動きが!
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来たーー!!馬!

でかい!かっこいい!
あれよあれよと総勢6頭、みんないい顔しております。
時間を忘れ、目の前の筋肉にキラキラしていると、
「さ、早速乗りますよ」
あ、はいすみません。よろしくお願いします!
座学的なものは全くなし。必要なことは乗ってからお話しますのスパルタぶり。いいね!

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ミーハーなので格好から入る。よし。

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そしてこちらが今日小玉がお世話になるイケメン、トレジャーくんです。後ろ左足首だけが白い、細マッチョのイケメ…あ、ごめんなさい写真に夢中でした、あ、ここにね足をかけてね…

乗っちゃった!馬の背中に乗らせていただけた!
はい、もうここからは写真がほとんどありません。
ながらスマホはいけません。というかできません、ながら。

なかなかの車高の高さ。そして、乗った瞬間一番はじめに思ったこと、
「落ちないでいられる自信が全くない!」
両足はガッツリ馬の背中にまたがっているけど、上半身の拠り所はどこにもなし。
手は手綱と鞭を持っているけどこれは馬に指示を出す為に持っているから支えにはならない。
動くものに対して、腰一点だけでバランスを取るのね!
なるほどこれは怖いぞと体がこわばったところを見計らってか、先生を乗せた馬が前進。
「両足でお腹を蹴ってくださいね〜」
前進⁈蹴る⁈先生、まだ私だけなぜか持たされたこの鞭の説明すら聞いてませんがけ、蹴るんですか?こんな可愛い子をけ…
「もっと強く蹴ってくださいね〜」
いやぁもうこれ以上は!親の仇くらいの思いで蹴ってますって先生、ていうか止まってるこの状態でもうなんか落ちそうですけど動き出したら派手に落馬すると思いますがそれはデフォルトですか?経験から学べってことですか?そうなんですね?ならいきますけど!セイヤァ!ふわあああ歩き出しました先生、じゃあ派手にいきま…

せんね…

あれ?むしろ安定してきた。
落ちる気が全くしない。
不思議な体験。
馬という動物の背中部分にまたがって乗っているという感覚から、馬と一体になって地面を歩いている感覚へこんな一瞬でシフトチェンジできるなんて。
馬は人間の3歳児くらいの知能しかないと言われているようですが、トレジャーは明らかに小玉を背中に乗せて歩き出す瞬間に
「あぁ、この感じね。ラジャー」
てな具合に自分に色々合わせてきた感じがしたのです。
それによって不思議なことに、私も「あぁ、これ知ってるわ」という感覚に変わったみたいな。
むかしむかしから人を乗せてきた馬のDNAによって、むかしむかしから馬に乗ってきた人間のDNAが覚醒したみたいな。

馬の上でロマンティックに浸っていた小玉さん、気付くと先生はもう随分先に。
「あんまり間隔をあけないでくださいね〜」
あ、すみません、そうでした。まだ歩く馬の背中に乗っているだけでした。
右へ曲がりたい時は手綱を右へ、左は反対へ、止まるときは両手を引いて、といったレクチャーが始まりました。

本当に、かしこいトレジャーは、私のつたない指示にもちゃんと従ってくれました。ただ…
さすがに知能を持った動物、
馬ったらずる賢い!
前を行く先生に続き、指示をより的確にできるようになるべく、ポールでUターンさせたりわざと遠回りさせたりするのですが、トレジャーったら、とことんショートカットしようとしやがります。しかも、ポールギリギリまでポールを通る気満々で歩いていくのに直前でポールを通らないというフェイント。可愛いヤツめ!でもここで甘やかすと言うことを聞いてくれなくなってしまうので、持ち前の根性と馬もウンザリの粘りでなんとか面目は保つことはできました。多分。

「じゃあ、トレール行きましょうか」
ついに外乗り!
これから森の中を歩きます。
天気もいいし風も気持ちいいしわくわくが止まらないじゃないか。
でもやっぱり長くなったからまた次に書こう。
あ、先生そういえばまだこの鞭の説明聞いてません…

ゆる企6月は馬に乗るそして走る(完結)

ゆるゆる企画6月
「愛が溢れ過ぎた小玉、馬に乗る」

ここからは練習場を出て外を歩きます。
舗装道路を歩くとカポリカポリと蹄のいい音がする。
すぐ横を車が通っても悠然と歩くトレジャーはかっこよくて惚れそうです。

人の1歳は馬の3歳と聞いたことがあります。だとすると、トレジャーは63歳。お、大分先輩なのね。みえないけど。ツヤツヤだし。
なるほど、だからこの余裕なのか。
ふと、舗装された道路を車と一緒に歩く光景に、岐阜県の羽島市にある笠松競馬場を思い出す。
小さい頃に、並走する馬を車の中から見上げてたけど、当時の笠松競馬場ということは、あのスター馬とニアミスしたこともあったんだろうなぁ。

しばらく公道を歩いた後、田んぼのあぜ道へ進路を変更。
「小玉さん、こっから気をつけてくださいね〜」
あ、はい。
でも大丈夫、ちゃんと乗れてますよ?
「小玉さん、あやしいですから〜」
え、どこがですか?安定してますよー、余裕ですって、
「危険な動きしてますからね〜」
いやいや、ちょっとお待ちよ先生、
いたって穏やかですよほら。
見てください、私とトレジャーはもはや一体化したのひとつの生命体となって意思疎通をはか
ガッッ!!
なに⁈思いっきり引っ張られましたが…
「引いて引いて!」
え⁈何を⁈
「手綱を引いて!」
手綱の先を見ると、トレジャーがあぜ道の草を物凄い勢いで食んでいる!
なななんて力だ。
よっぽどお腹が減っていたのか…その貪り度合いにこのまま思う存分食べさせてやりたい衝動に駆られたが、先生曰く、このままにさせていると言うことを聞かなくなるようなので、
ごめんよ、全力でいかせてもらう…
ぐ…
が…
つ、強い!強すぎる!さすが全身筋肉!
63歳、衰え知らず!
先生、勝てる気が全くしませ…
「首に鞭入れてください」
鞭?あ、ずっと持たされてたコレ?
これをこう?
この先1時間弱の主導権が懸かっていたので、躊躇することなくトレジャーの首元にピシリと。
するとけっこうすんなりと言うことを聞いてくれました。
なるほどこの為かっ!
言っておいて先生ー!

トレジャーくん、
いや、トレジャーさん、
トレジャーおじさん、
おとなしそうな顔してやってくれるわね。
初乗馬で、穏やかな顔して実はずる賢い、食欲旺盛なおじちゃんとペアになるとはね。
トレジャーよ、ここからはもう容赦はせん。
人間を甘く見た罰だ私が乗っている間は二度と草を食めると思うなうはははさぁ歩け歩け、
なんだ耳など倒して反省でもしているのかふふん、可愛いヤツめ。可愛いヤツめ…かわいい///…。
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森の中を歩く。
今まで体験したことない高さで歩く。シンプルだけどとても不思議。
そして、森の中の小径は、ぬかるんでいたり、岩でできていたり、登りだったり下りだったり。そのたび、そっと歩いたり、足場を確かめながら歩いたり、一生懸命力を込めて歩いたり。またがっている背中から全部伝わってくるのが本当に愛おしく感動的で。しばらくぼうっと身を任せ…
「食べてますっ」
うぉっとトレジャー、そうでした。
森の中は緑一面。誘惑だらけでした。

「じゃあ、走ってみますか」
よし、いよいよ次のステージへ。
さ、先生、どんな姿勢でどう乗りましょうか
「じゃついてきてくださいねーー
あぁあここもノーレクチャーなのね。あぁあ走りだしたし、
あがががが
ごごご
おごごごごご
「はい、止まりましょうー」
…おぉ、
なるほど…。
普通に座っているのは無理ってことですね。
スピードよりもなによりも振動がすごい。
ここでようやく腰を浮かせたり沈めたりの乗り方をレクチャー。
でも、リズムとタイミングは馬によって全然違うのだそう。だからあとは馬にとことん合わせていく事を目標にとのこと。
確かに、恐る恐るだけど、その乗り方で走ってみると振動はそれほど気にならない。
だけど、トレジャーのリズムにバッチリ合っていない感じが、なんだか双方の負担になっている気がしてもどかしい。乗馬の奥深い部分ってここのところかしら。うん、これは難しいし楽しい!

何度か走っていると、たまに全くストレスを感じない瞬間がある。その瞬間は筋肉の負担をまったく感じなくなり、心なしかトレジャーの足運びも軽やかな感じがした。
この感覚、デジャブ…
いつだっけ…去年の冬くらい…
あ!
X-QUEST公演だ!
殺陣未熟者の小玉が、X-QUESTの殺陣魔人塩崎こうせいとタイマンでバトルするオープニングだ。
稽古中は、必死に師匠についていくのが精一杯で、一回通すとブラックアウト寸前くらいにまで疲労してしまって。
これで本番いけるのか…久々の不安と戦いながら、しかし師匠のすこぶる気の利いたアシストでなんとか仕上げての本番、変わらず全力で死ぬ気で挑んでいたのに、ある日のある回、まったく疲労を感じない瞬間があって。いつもと一緒なのに疲労しない!その上師匠の動きがいつもより見えるし優雅に感じる!
なんだったのかしらと師匠に尋ねてみたら、
「あのね、息が合ってるとね、全然疲れないんだよ」
へえええ!
メカラウロコ!

これだわ。
長くなったがこれだった。
師匠、あの時師匠と分かち合えたシンクロを、今、小玉は馬と成し得ております!
種を超えて分かち合った感じがします師匠ー!

そんなこんなで楽しい時間はあっという間。
お別れ前に、二人の記念写真を撮ってもらいました。
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見てこれ!トレジャーと同じ顔もといおんなじポーズしてる!
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ありがとうトレジャー。おじさんなんて言ってごめんね。
初乗馬があなたで本当に良かったよ。またね。

乗馬経験者のみんなに、次の日、下半身の筋肉痛に覚悟しなさいと脅されておりましたが、
下半身はそうでもない。しかし、なぜかどうにも右腕があがらず。
なぜだろうとよくよく思い出してみると、どうやら、道草トレジャーを全力で阻止しようとした時のもののよう。馬力って本当にすごいのね。
そして次はもっと走りたい!
風を、切りたい。
なので、また会いにこよう。
そして、数日後、母から送られたこの写真、
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私、初乗馬じゃなかったのねーー!!